パーパス起点で進める共創(Co-Creation)の定義・理論・3類型・実践プロセスと、日本の動向・国内外事例・つまずきのパターンを一冊に整理した実践フレームワーク。
A practical framework for purpose-driven co-creation — theory, process, market data, case studies, and why so many initiatives stall.
パーパス起点で進める共創(Co-Creation)の定義・理論・3類型・実践プロセスと、日本の動向・国内外事例・つまずきのパターンを一冊に整理した実践フレームワーク。
A practical framework for purpose-driven co-creation — theory, process, market data, case studies, and why so many initiatives stall.
本書は共創(Co-Creation)の理論・型・日本市場の動向・国内外事例を整理した上で、なぜ多くの共創・新規事業が途中で止まるのかを解き明かし、私たちが提供できる伴走の形を提案します。
なぜ今、自社単独ではなく「共創」なのか
共創型事業開発とは、企業がそれまで自社内だけで行ってきた企画・開発・事業化のプロセスを、消費者・協力企業・大学/研究機関・自治体など多様なステークホルダーとの対話・協業に開き、既存商品の改善や新しい商品・サービス、さらには新しいビジネスモデルを生み出していく事業開発の様式を指す。
市場の成熟により、一つの企業が自社内だけで消費者ニーズにマッチした商品・サービスを生み出し続けることが難しくなっている。異業種参入によって競争優位性が短期間で失われる事例も増加している。
行政もオープンイノベーションの後押しを強めており、大企業とスタートアップの連携を促す支援策・マッチング施策が年々拡充されている。環境は整いつつあるが、実際に成果を出せる企業と、対話だけで終わる企業の差は大きい。その差を生むのが、次章以降で扱う「原則」と「型」である。
本書では、私たちが実践してきた共創事業開発の考え方と、再現性のある3類型・5段階プロセスのフレームワークを紹介する。
本書は、共創の理論・3類型・5段階の実践プロセス、日本国内の動向、国内外の先行事例、そして多くの共創・新規事業が陥る落とし穴までを一冊にまとめている。読み終える頃には、自社にとってどの共創スタイルが適しているか、次の一歩をどう踏み出すべきかが明確になるはずだ。

"最良の資源は、いつも社外にある。"
The best resources are almost always outside your walls.共創を機能させる3つの原則と、その理論的な裏付け
共創は「複数社で組む」だけでは機能しない。目的の共有・対等な関係・再現可能な進め方という3条件のいずれかが欠けると、対話は始まってもプロジェクトは途中で形骸化する。これは経験則ではなく、2000年代に体系化された学術理論とも符合する。
委託ではなく、テーマ設定の段階からパートナーを巻き込む。C.K.プラハラード&ベンカト・ラマスワミの「DARTモデル」(2004年)が示すDialogue(対話)にあたり、共通の目的=パーパスを最初に言語化することが成否を分ける。
IP・収益・意思決定を設計し、対等な関係を担保する。DARTモデルのRisk-benefit assessment(リスク評価)とTransparency(透明性)に対応し、単なる業務委託・資本提携と一線を画す。
デザインシンキング・リビングラボなど型のあるプロセスで対話から実証実験まで並走する。Henry Chesbroughのオープンイノベーション論(2003年)が説く、外部知識の意図的な取り込み(Inbound)の実践形にあたる。P&Gの「Connect+Develop」では新製品の社外由来比率が35%に達したという代表例がある。
3つの類型と、対話から実証実験までの5段階プロセス
提携タイプ ── 自社に不足している資源を他社との協力で確保するタイプ。人材・技術・研究開発費・アイデア・販売網などを補完し、対等なパートナーシップを構築する。単独では届かないスピードで市場に出すことを狙う。
共有タイプ ── 企業がコンソーシアムやコミュニティを形成し、課題の解決に向けて議論を深めていくタイプ。競合を含む多様な参加者から知見を集める設計が要になる。
双方向タイプ ── 企業と消費者が、対等な立場でコミュニケーションを取り合うタイプ。顧客を「対象」ではなく「共同開発者」として扱う発想の転換が前提になる。
出典: 経済産業省近畿経済産業局「令和3年度 企業による価値共創事業の実態調査」(2022年3月)
実施率で見る、日本と欧米の差
02章で見た日本のOI実施率47%は、欧米企業の実施率78%と比べると、およそ6割の水準にとどまる。米山茂美ほか「日米欧企業におけるオープンイノベーション活動の比較研究」(2017年、学習院大学経済論集)による調査で、この数値はNEDO・JOIC「オープンイノベーション白書」でも引用されている。
このギャップは7年以上、更新されていない。欧米が実施率で先行する一方、日本企業の取り組みの母数自体は決して少なくない。問われているのは「やっているかどうか」よりも、後述する「成果につながる型で回せているかどうか」である。
別の切り口として、NISTEP「全国イノベーション調査2020年調査」では、2017〜2019年の3年間でイノベーション活動を実施した企業は49%(全業種)。取り組みの裾野自体は、業種を問わず一定の広がりを見せている。
出典:米山ほか(2017年)/NEDO・JOIC「オープンイノベーション白書」/NISTEP「全国イノベーション調査2020年調査」。調査主体・対象年が異なるため、単純な推移としては読めない点に留意。
"差の理由は「やる/やらないか」ではなく、成果につながる型で回せているかどうかだ。"
実施率という「点」ではなく、複数の「線」で見る市場の動き
実施率という「点」の指標が古いままでも、CVC投資・大企業の行動・政府施策という複数の「線」のデータで見ると、市場は着実に動いている。
国内事業会社によるスタートアップ投資額は2013年の約396億円から2023年に約2,049億円へ、10年で約5倍に拡大した(ジャフコグループ×Relic「JAPAN CVC Report 2024」)。
経団連「スタートアップフレンドリースコアリング」では、3年連続参加した大企業60社の平均スコアが373.9点→388.1点→403.2点と、3年連続で上昇。大企業側の協業姿勢そのものが経年で改善している。
経産省が選定する成長支援対象「J-Startup」は、2018年の開始から2025年3月時点で累計272社に達した。
背景には、大企業がゼロから新規事業を立ち上げるより、スタートアップへの出資・協業を通じて「時間を買う」動きが広がっていることがある。オープンイノベーション促進税制など、政府による後押しも継続している。
"大企業は今、ゼロから作るより、時間を買っている。"
主要な共創プラットフォームの実績規模
日立「協創の森」 ── 中央研究所の敷地内に地上4階建ての新施設を開設。外部の研究者や顧客を招き、多様な立場のパートナーが行き来する共創の場を提供する。研究員と顧客企業の担当者が同じ場で技術シーズと事業ニーズを直接すり合わせる運営が特徴。
Sony Acceleration Platform ── 企業内新規事業開発支援に加え、共創専用の交流拠点を本社内に開設。2026年6月末時点で1,050件超・27業種の実績を積む。
NTT「OPEN HUB for Smart World」 ── グループ横断のオープンイノベーションプログラムとして、拠点「OPEN HUB Park」を中心にスタートアップ・大学・自治体との協業窓口を一本化。約1,300社・約3,000名(2023年3月時点)が参加し、技術シーズと事業ニーズのマッチングを継続的に行っている。
"拠点は増えている。差は使い方に出る。"
The hubs exist. The difference is in how you use them.国内の企業間共創と、海外の消費者共創・クロスインダストリー共創
三井物産とプレイドが共同出資し、合弁会社「.me(ドットミー)」を設立。曽田香料が商品開発パートナーとして参画し、その後博報堂からの出資や味の素との共同商品開発など、共創の輪を広げている。単独の資本提携ではなく合弁会社という形を取ったことで、対等な意思決定構造を担保している。
半年以上の実証を経てから出資する段階的な信頼構築により、累計実証実験100回・事業化51件・投資先38社を達成。大企業が自社資産を開いて成果を出す代表例で、いきなり出資判断を迫らない実証優先のプロセスが再現性を支えている。
ファンが自作デザインを投稿し、コミュニティが投票する仕組み。1万票を獲得すると公式チームが審査し商品化を検討する。採用デザイナーは売上の1%を受け取る。企業側は「何が売れるか」を賭けに出す必要がなく、コミュニティの投票結果自体が市場調査として機能する点が秀逸。コミュニティ自身がヒットの目利き役を担う設計が、この仕組みの核心にある。
通常は競合関係にある2社が低炭素ランニングシューズを共同開発し、知見をオープンソース化。開発12ヶ月を経て、1足あたりのCO2排出量を2.94kgまで抑えた、当時最も低炭素なランニングシューズとして発表された。業界の慣行を破ってでも共有した知見は、両社の競争力ではなく業界全体の底上げとして位置づけられている。
出典:各社公式リリース・公開資料に基づく。
対等な関係という原則を欠くと、現場で何が起きるか
大企業とスタートアップの協業で、秘密保持契約(NDA)の範囲が曖昧なまま協業が進み、大企業側が類似サービスを単独で展開。両社の信頼関係が破綻し、協業は事実上終了した。
02章の原則「リスクと成果を分かち合う」が欠けていた。IP・収益・意思決定の設計が曖昧なまま対話が先行し、片方だけがリスクを負う非対称な関係のまま協業が進んだ。
NDAの範囲・期間、協業で得た知見の扱いを、対話の初期段階で明文化しておくこと。「対等な関係」は理念ではなく、契約設計として担保する必要がある。
秘密保持の対象・期間・協業終了後の扱いを、対話の初期段階で文書化する。
IP・収益・意思決定権を誰がどう持つか、口約束ではなく契約に落とす。
うまくいかない場合にどう終えるかを、始める前に両者で合意しておく。
"共創は魔法の杖ではない。だが、原則を踏めば再現できる。"
Co-creation isn't magic — but with the right principles, it's repeatable.取り組みの型が違っても、行き着く先は同じ「仕組み不在」という壁
外部と組む共創プロジェクトも、自社内で完結させる新規事業も、入口はまったく違って見えて、現場でつまずく理由の根っこは同じところにある。
共通のパーパスがないまま、個別の連携手法(HOW)に飛びつく。07章の事例はこの一例。
相手の事業段階を適切に評価できず、過剰な要件を求め、開発リソースを消耗させる。
契約上は対等でも、実務上は下請け構造に戻ってしまう典型パターン。
出典:アビームコンサルティング「新規事業創出の実態調査」(2023年9月調査・2024年3月発表、620名)/パーソル総合研究所「企業の新規事業開発に関する調査」(2022年5月発表、1,800名)。海外の独立系スタートアップの調査(CB Insights、Startup Genome)でも「検証を急ぎすぎる」「型がないまま拡大する」という近い構造が報告されている。これは資金構造も規模も異なる海外データを直接の根拠とせず、あくまで私たちの解釈として付記するものである。
両者の共通項は「原則(型)は知っていても、動かす仕組みがない」こと。
外部と組む共創
自社内の新規事業
Same Wall: 仕組み不在
2つの道は、入口も歩き方も違う。
だが行き着く先は、同じ壁だった。
大企業の新規事業チームも、シード期スタートアップも、同じ壁にぶつかっている
アイディアも人材もある。足りないのは、走らせ続ける仕組みだった。
ここまで見てきた市場データも、失敗の実態も、突き詰めれば同じ結論に行き着く。原則を知ることと、それを動かす仕組みを持つことの間には、大きな溝がある。私たちは「事業検証×開発×組織」を一体で設計・実行し、一時的な代行ではなく、社内にノウハウが残り、私たちが抜けても回り続ける形で、アドバイスに留まらず実際に手を動かしながら、その溝を埋める。
| アクセラレータ /メンター |
受託開発 ベンダー |
共創事業開発 (Alanse) |
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|---|---|---|---|
| 技術戦略アドバイス | △ | — | ○ |
| プロダクト仮説検証 | △ | — | ○ |
| 組織・採用設計 | — | — | ○ |
| 戦略〜実行の一貫性 | 戦略のみ | 実装のみ | 戦略+実装+組織 |
アクセラレータ・メンターは戦略助言に、受託開発ベンダーは実装力に、それぞれ強みを持つ。私たちが示すのは、その両者の間にある「事業・技術・組織を一貫して伴走できる」領域である。
事業検証・開発・組織に関する9つの「仕組み」を、POC開発から採用までハンズオンで支援する
"30分の共創ディスカバリーセッションから、始めませんか。"
貴社のテーマに合わせ、組むべき相手と最初の検証プランをご一緒に描きます。30分の共創ディスカバリーセッションから始めませんか。貴社のテーマに合わせ、組むべき相手と最初の検証プランをご一緒に描きます。
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